社協だより№149  2  「福祉」への想い ~福祉作文コンクール       受賞者決定~  このコンクールは、市内の児童・生徒が日常生活の中で「福祉」について考えたことや体験したことを作文にし、若い世代からの声として多くの方々に伝えることを目的としています。  受賞者の表彰式は11月12日に開催した市社協の「ふくしのつどい」で行われ、代表して最優秀賞を受賞した木幡奏海さんが作文を朗読しました。  受賞者の一覧は3ページに掲載しています。受賞者の皆さん、おめでとうございます! 最優秀賞作文 『後悔を学びに変えて』 茨城県立日立第一高等学校附属中学校3年 きはた かなみ 木幡 奏海さん  少子高齢化が進み、たくさんの福祉施設を見かけるようになった。駅のホームの青い椅子や電車、バスには必ず優先席がある。スーパーマーケットの入口にはなだらかなスロープと手すりがついている。このように、社会は高齢化に伴いバリアフリーの建設が着々と進められている。  私は小学六年生の時に福祉イベントでの高齢者体験に参加した。用意されていたヘッドフォンとゴーグルと特殊な手袋をつけた。すると視界は狭くなり、手足は重くなり、周りが何を話しているのかよく分からない状況に陥った。そこで初めて怖さを体感した。それと同時に人間は年をとるにつれ、体の様々な機能が低下することを知った。 そのため、 「高齢者には真っすぐ目を見て大きな声で語りかけるのよ。」 と言うボランティアの方々の説明がよく理解できたのを覚えている。  もういない大好きだったそう祖母は高齢者に多い認知症だった。だんだん同じ質問をくり返すようになっていき、 「あ、そういえば夜ごはんまだ食べてない?」 と、そう祖母に言われて最初は、 「もう食べたよ。」 と笑みを浮かべて答えていた。しかし、そのことを何回も聞かれ、勉強中でもあった私はイライラして思わず、 「もう食べたって何回も言ってるでしょ?!」 と声を張り上げてしまった。そう祖母は悲しい顔をしながらも数分後にはその出来事を忘れ私を見てニコニコしていた。そのそう祖母が亡くなった時、あの出来事を思い直して何故やさしく接することが出来なかったんだろう。もっとお話すれば良かった、もっと笑顔でいれば良かったと、ただ後悔だけが残ってしまった。後悔は何度も自分を責め立てた。身近にいたそう祖母を失って初めての感情だった。今はそう祖母の娘、祖母が認知症になりかけている。あの日二度と後悔をしたくないと心に誓った私はもちろん祖母と日常会話を楽しんでる。  将来の夢は作業療法士だ。母の影響もありこの仕事を知った。作業療法士は高齢者や事故で右半身麻痺した人などをリハビリによって少しでも回復させたり日常生活で困らないようにどうするかを考える仕事である。他にも理学療法士などスポーツに携わる仕事もあるが、私は高齢者と接点のある仕事に就きたいと思った。その仕事に就いて高齢者の笑顔を見るのが夢である。  高齢化社会の中で福祉イベントの体験やそう祖母とあまり話せなかった後悔の経験をした。それらを学びに変え、働く世界に出た時に生かしていきたいと思う。  電車の中で座れなくて困っている高齢者を見たら席を譲ることを作業療法士への道の小さな一歩として踏み出していきたい。 〈原文のまま掲載しています〉